ウェーブレット
読み: うぇーぶれっと
画像を空間と周波数の両方の情報を保持したまま多重解像度に分解する手法。JPEG 2000 の圧縮基盤であり、ノイズ除去にも有効。
ウェーブレット (Wavelet) とは、画像を空間情報と周波数情報の両方を保持したまま多重解像度に分解する数学的手法である。フーリエ変換が周波数情報のみを提供するのに対し、ウェーブレット変換は「どの位置に、どの周波数成分が存在するか」を同時に把握できる点が最大の利点である。
2 次元離散ウェーブレット変換 (2D DWT) は画像を 4 つのサブバンドに分解する。
- LL (近似成分): 低周波の水平・垂直成分。元画像の縮小版に相当する
- LH (水平ディテール): 水平方向のエッジ情報を保持する
- HL (垂直ディテール): 垂直方向のエッジ情報を保持する
- HH (対角ディテール): 対角方向のエッジ情報を保持する
代表的なウェーブレット基底関数を示す。
- Haar ウェーブレット: 最も単純な矩形波。計算が高速で教育用途に適する
- Daubechies ウェーブレット: コンパクトサポートを持つ直交ウェーブレット。画像圧縮で広く使用
- CDF 9/7: JPEG 2000 の非可逆圧縮で採用。優れた圧縮効率を持つ
- CDF 5/3: JPEG 2000 の可逆圧縮で採用。整数演算で実装可能
応用分野は多岐にわたる。JPEG 2000 画像圧縮ではブロックノイズが発生しない滑らかな圧縮を実現する。ノイズ除去ではディテール係数に閾値処理を適用し、ノイズ成分のみを除去する (ウェーブレット縮退)。テクスチャ解析では各スケールのエネルギー分布から特徴量を抽出する。Python では pywt ライブラリで容易に実装できる。