ロトスコープ
読み: ろとすこーぷ
映像のフレームごとに手動または半自動でマスクの輪郭を描き、被写体を背景から切り離す技術。キーイングが困難な素材に対する最終手段として使用される。
ロトスコープ (Rotoscoping) は、映像の各フレームにおいて被写体の輪郭をベジェ曲線やスプラインで手動トレースし、精密なマスク (マット) を生成する技術である。元々は 1910 年代にアニメーション制作のために発明された手法だが、現代の VFX ではクロマキーが使えない実写素材の前景分離に不可欠な工程となっている。
グリーンバックなしで撮影された素材、複雑な背景と被写体の色が類似している場合、あるいは反射や透過がある素材では、自動キーイングでは十分な品質が得られない。このような状況でロトスコープが最終手段として投入される。
- シェイプ補間: キーフレーム間のシェイプを自動補間することで作業量を削減する。24fps の映像で 5 フレームおきにキーフレームを打つのが一般的な作業ペースである
- 階層化ロト: 腕、胴体、頭部など身体パーツごとに個別のシェイプを作成し、関節の動きに追従させる。パーツ単位の管理により修正が容易になる
- エッジ処理: モーションブラーや髪の毛の境界では、ハードエッジのシェイプに加えてフェザリングやソフトマットを適用し、自然な遷移を作る
- AI 支援ロト: 近年は機械学習ベースのトラッキングが初期マスクを自動生成し、アーティストは修正作業に集中できるようになった。
roto.estimateMask()のような API が各ツールで提供されている
映画 1 本あたり数千ショットのロトスコープが必要になることもあり、VFX スタジオでは専門のロトアーティストチームが配置される。1 ショットの作業時間は複雑さに応じて数時間から数日に及び、プロダクション全体のスケジュールに大きく影響する工程である。