7z と ZIP と RAR の違い - 圧縮率と速度と互換性で選ぶ
結論: 送るなら ZIP、縮めたいなら 7z、RAR は受け取って開くもの
3 つの形式の違いは、どこでも開けるか、どこまで縮むか、誰が作れるかの 3 点に集まります。相手に送るなら ZIP、自分の保管で少しでも小さくしたいなら 7z、RAR は届いた物を開く形式と考えると迷いません。
| 項目 | ZIP | 7z | RAR |
|---|---|---|---|
| OS の標準で開けるか | Windows、macOS、iPhone、Android の標準のアプリで開ける | Windows 11 と macOS 26.5 は開ける。iPhone と Android の標準のアプリは対象外 | Windows 11 は開ける。macOS 26.5 の標準のツールは対象外 |
| 主な圧縮の方式 | Deflate (他に LZMA なども仕様にある) | LZMA2 (7-Zip の既定)、LZMA、PPMd、BZip2 | RAR 独自の方式 |
| 暗号化 | ZipCrypto (弱い) と AES | AES-256 (ヘッダーの暗号化でファイル名も隠せる) | AES-256 (名前の一覧も隠せる) |
| ソリッド圧縮 (solid) | 無し (ファイルごとに圧縮) | 有り | 有り |
| 作るのに要るもの | OS の標準の機能で作れる | 7-Zip (GNU LGPL の無料のソフト) など。Windows 11 (24H2 以後) も可 | WinRAR か RAR (有料、試用版あり) |
2026 年 10 月に各社の資料と macOS 26.5 で確認しました。
名前の文字化けは ZIP の弱みで、7z と RAR 5.0 の書庫では起きにくい作りです (詳しくはZIP のファイル名が文字化けする原因と直し方)。
ZIP: どこでも開ける、いちばん通じる形式
ZIP は PKWARE が 1989 年に最初に公開した形式で、仕様書 APPNOTE.TXT はその後も改訂が続いています (2026 年 10 月時点の最終は 2022 年 11 月の 6.3.10)。中のファイルは 1 つずつ別々に圧縮され、方式の欄には番号が入ります。ほとんどの ZIP が使うのは 8 番の Deflate で、仕様には 14 番の LZMA なども載っていますが、Deflate 以外は開けるツールが限られます。
ZIP の強みは、ファイルごとに圧縮される作りそのものにあります。セントラルディレクトリ (central directory) を読めば、1 つのファイルだけを取り出すのに他のファイルを展開する必要がありません。途中が壊れても、壊れたファイル以外は取り出せることが多い作りです。iPhone の「ファイル」アプリや Android の Files by Google のような標準のアプリが ZIP に対応しているのも、この扱いやすさがあるからこそです。作るツールも多く、macOS には ditto と Info-ZIP の zip のコマンドが標準で入っており、Python の zipfile でも作れます。
弱みは暗号化と名前の文字コードです。昔からの暗号化 (ZipCrypto) は APPNOTE の 6.3.10 自身が弱いと位置付けており、強い AES の ZIP は標準のアプリで開けないことがあります。日本語のファイル名は、UTF-8 を示すフラグ (汎用フラグの bit 11) が立っていない ZIP だと開く環境によって化けます。化けた時の直し方はZIP のファイル名が文字化けする原因と直し方で、暗号化の 2 つの系統はパスワード付き ZIP をスマホで開く方法で解説しています。
7z: ソリッド圧縮でよく縮む、開く側を選ぶ形式
7z は Igor Pavlov 氏の 7-Zip のための形式で、7-Zip の説明は特長に、高い圧縮率、AES-256 の暗号化、ソリッド圧縮 (solid)、ヘッダーの圧縮、Unicode のファイル名を挙げています。7-Zip の既定の方式は LZMA2 で (2026 年 10 月時点)、元の LZMA のほか PPMd や BZip2 も選べます。7z のコードは GNU LGPL で配られており、2026 年 10 月 21 日に 7-Zip 26.05 が公開されています。
よく縮む理由の 1 つがソリッド圧縮です。複数のファイルをつないで 1 本のデータとして圧縮するので、ファイルの間で似た部分 (同じ形式のヘッダーや、似た文の繰り返し) をまとめて縮められます。その代わり、後ろのファイルを 1 つ取り出すにも前のデータを順に処理する必要があり、途中が壊れると、壊れた所より後ろのデータも読めなくなることがあります。7-Zip の説明は、ソリッド圧縮の書庫の中のファイルの並べ方 (名前順か拡張子順か) で圧縮率が大きく変わることがあるとも書いています。
速さは圧縮と展開で大きく違います。7-Zip の説明によると、LZMA の圧縮は 4 GHz の CPU で毎秒 2〜8 MB (2 つのスレッド) ほど、展開は毎秒 30〜100 MB (1 つのスレッド) ほどです。作るのには時間がかかっても、開くのは速い形式といえます。
7-Zip は 7z と ZIP の両方で AES-256 の暗号化ができ、7z の形式なら自己解凍の書庫も作れます。x86 や ARM64 の実行ファイルのように、決まった形のデータを先に変換してから縮める BCJ などのフィルターも 7z の形式に組み込まれています。
RAR: 復元の仕組みが強い、作るには WinRAR が要る形式
RAR は Alexander Roshal 氏が作った独自の形式で、作れるのは RARLAB の WinRAR とコマンドの RAR です。WinRAR は有料のソフトで、買う前に試せる試用版が配られています (2026 年 10 月時点の正式版は 7.23)。展開だけなら無料の UnRAR があり、7-Zip も RAR5 を含む RAR を開けます (作ることはできません)。UnRAR の使用許諾は、そのソースを RAR と互換の圧縮ソフトの開発や、独自の圧縮の方式の再現には使えないと定めています。この定めも、RAR を作れるソフトが限られる理由の 1 つです。
RAR 5.0 の形式の説明 (RARLAB) から、主な機能が読み取れます。
- 復元レコード: 書庫の後ろに置く任意の情報で、書庫の一部が壊れた時に直すために使います
- AES-256 の暗号化: 鍵は PBKDF2 でパスワードから作ります。ヘッダーまで暗号化すると、パスワードを知らない人にはファイルの名前の一覧も見えません
- ソリッド圧縮と分割: ソリッド圧縮のフラグと、複数の部品 (ボリューム) に分けるフラグがあります
- 自己解凍: 書庫の前に自己解凍のプログラム (SFX) を置けます
RAR 5.0 の書庫では、名前の文字コードも UTF-8 に決まっています。ファイルのヘッダーの名前を UTF-8 で書く決まりなので、ZIP のような文字化けは起きにくい作りです。
用途別の選び方 (文書で実測)
どれだけ縮むかは中身しだいです。2026 年 10 月にこの記事の筆者が Mac (macOS 26.5) で、HTML のひな形と JSON の文書 44 本 (合わせて 616,972 バイト) を ZIP と 7z に圧縮しました。ZIP は macOS の zip コマンド (Zip 3.0) の最大圧縮 (Deflate)、7z は macOS の bsdtar 3.5.3 で作った LZMA2 の書庫です。どちらも 1 回ずつの計測で、数字は目安です。
- 写真: JPEG はもう圧縮済みなので、ZIP でも 7z でも大きくは縮みません
- 文書: ZIP は 32.0 % (0.11 秒)、7z は 22.4 % (0.42 秒)。文字のデータは繰り返しが多く、7z の差がはっきり出ます。7z は ZIP より 3 割ほど小さく、時間は 4 倍近くかかりました
この結果を、用途ごとの選び方にまとめます。
- 相手に送る: ZIP。相手が Windows でも Mac でもスマホでも、標準のアプリで開けます。日本語の名前は英数字にするか、UTF-8 のフラグ (汎用フラグの bit 11) を立てて作ると安全です
- 自分で保管する文書やデータ: 7z。文書なら ZIP より目に見えて小さくなり、AES-256 で守れます。ソリッド圧縮の書庫は 1 か所の破損が広がりやすいので、別の場所にも控えを置きます
- 大量の写真: 縮める目的なら形式はどれでも大差ありません。送るなら ZIP、まとめて守りたいなら 7z を選び、圧縮率より開きやすさで決めます
- 壊れやすい経路で長く置く: 復元レコードを付けた RAR が候補になります。ただし作るのに WinRAR が要り、受け取る側にも RAR を開けるツールが必要です
開き方: 標準で開けない時はソフトかブラウザーのツールで
ZIP は 4 つの OS の標準のアプリで開けます。7z は Windows 11 と macOS 26.5 なら標準の機能で開け、RAR は Windows 11 なら標準で開けます。それ以外の組み合わせ、特に iPhone と Android で 7z や RAR が届いた時は、専用のアプリかブラウザーのツールが要ります。Microsoft の発表は Windows 11 についてのものなので、Windows 10 の PC で 7z や RAR が届いた時も、7-Zip などのソフトかブラウザーのツールを使います。
piclab の解凍ツールは、ZIP と 7z と RAR をブラウザーの中だけで開きます。パスワード付きの書庫や分割された書庫にも対応しており、ファイルは外部に送られません。iPhone の Safari でも Android の Chrome でも、スマホに解凍アプリを入れずに、必要なファイルだけを選んで保存できます。
開けない時は、形式より先に次の 3 点を確かめると早く片付きます。
- 拡張子と中身が合っているか: 名前が .zip でも中身が別の形式のことがあります。標準のアプリが「対応していない」と言う時は、7z や RAR に対応したツールで開いてみます
- 分割の部品が揃っているか: ZIP は .z01 から、RAR は .part1.rar などから続く部品を、全部同じ場所に置きます
- パスワードと暗号化の方式: AES の ZIP やヘッダーまで暗号化した RAR は、対応したツールでないとパスワードの入力までたどり着けません