被写界深度
読み: ひしゃかいしんど
ピントが合って見える奥行き方向の範囲。絞り値、焦点距離、被写体距離の 3 要素で決まり、浅い被写界深度は背景ボケを、深い被写界深度はパンフォーカスを生む。
被写界深度 (Depth of Field, DoF) は、レンズの焦点面を中心として、許容錯乱円以内のシャープさを保つ奥行き方向の範囲を指す。被写界深度が浅いと合焦範囲外が大きくぼけ、被写体が背景から鮮明に際立つ。逆に深い被写界深度ではシーン全体にピントが合い、風景写真やドキュメンタリー撮影で多用される。
被写界深度を決定する 3 つの主要因は、絞り値 (F 値)、焦点距離、そして被写体距離である。F1.4 のような開放絞りでは被写界深度が極めて浅くなり、F16 まで絞ると大幅に深くなる。
- 許容錯乱円 (CoC): ピントが合っていると見なせるぼけの最大直径。35mm フルフレームでは一般に
0.03mmが基準値として使用される - 過焦点距離: ある絞り値で無限遠までピントが合う最短の焦点距離。風景撮影ではこの距離にピントを合わせることで前景から無限遠まで鮮明に写せる
- ボケ味: 被写界深度外のぼけの質感。レンズの光学設計 (絞り羽根の枚数、球面収差の補正具合) によって円形、多角形、渦巻き状など異なる特性を示す
- ティルトシフト: レンズの光軸を傾けることで焦点面の角度を変え、通常では不可能な被写界深度の制御を実現する。シャインプルーフの原理に基づく
デジタル処理では深度マップを利用した合成的なボケ (シンセティック DoF) が可能であり、スマートフォンのポートレートモードがその代表例である。CG レンダリングでは物理ベースのレンズシミュレーションにより、実写と同等の被写界深度表現を忠実に再現し、映画品質の映像を生成できる。