ビネット
読み: びねっと
画像の周辺部が中央部に比べて暗くなる現象。レンズの光学特性に起因する自然ビネットと、意図的に適用する芸術的ビネットの 2 種類がある。
ビネット (Vignetting) は、画像の四隅や周辺部が中央部に比べて暗く落ちる現象である。語源はフランス語の「vigne」(ぶどうの蔓) に由来し、装飾的な縁取りを意味する。写真においては光学的な欠陥として発生する場合と、視線を中央に誘導する演出として意図的に適用する場合がある。
光学的ビネットは発生メカニズムによって複数の種類に分類される。いずれもレンズの物理的特性に起因し、絞りを開放に近づけるほど顕著になる傾向がある。
- 自然ビネット (コサイン 4 乗則): 光軸から離れるほど入射角が大きくなり、照度が
cos⁴θに比例して低下する。広角レンズほど影響が大きく、画面隅で最大 2 段程度の減光が生じることがある - 口径食ビネット: レンズ鏡筒やフィルター枠が斜め入射光を遮ることで発生する。絞りを 2-3 段絞ると改善されるが、完全には解消されない場合もある
- ピクセルビネット: デジタルセンサー特有の現象で、マイクロレンズの指向性により周辺画素の感度が低下する。テレセントリック性の低いレンズで顕著になる
- 芸術的ビネット: 後処理で意図的に周辺減光を加え、視線を画面中央の被写体に誘導する手法。ポートレートや風景写真で頻繁に使用される
RAW 現像ソフトではレンズプロファイルに基づく自動補正が可能で、Adobe Lightroom や DxO PhotoLab がレンズごとの補正データを内蔵している。逆に、フィルムカメラ時代の雰囲気を再現するためにビネットを強調するレタッチも根強い人気があり、表現手法として定着している。