ダイナミックレンジ
読み: だいなみっくれんじ
画像やデバイスが表現できる最も暗い部分と最も明るい部分の輝度比。ダイナミックレンジが広いほど、明暗差の大きなシーンを白飛びや黒つぶれなく記録・表示できる。
ダイナミックレンジとは、システムが同時に再現できる最小輝度と最大輝度の比率である。写真・映像の文脈では、1 枚の画像内で白飛び (ハイライトクリッピング) や黒つぶれ (シャドウクリッピング) を起こさずに記録できる明暗の幅を指す。単位には EV (Exposure Value) やストップ (段) が使われ、1 段は輝度比 2 倍に相当する。
- カメラセンサー: 現代のフルサイズセンサーは 12-15 段程度のダイナミックレンジを持つ。14 ビット RAW で記録することで、この広いレンジを後処理で活用できる。JPEG (8 ビット) では約 8 段に圧縮される
- ディスプレイ: 標準的な SDR モニターは 6-8 段程度。HDR 対応ディスプレイは 1000 nits 以上のピーク輝度と 0.05 nits 以下の黒レベルを実現し、実効 14 段以上のダイナミックレンジを表示できる
- HDR 画像処理: 露出の異なる複数枚を合成してダイナミックレンジを拡張する手法。32 ビット浮動小数点で統合した後、トーンマッピングで SDR ディスプレイに収める
人間の目は瞳孔の調節と網膜の順応により、瞬間的に約 14 段、時間をかけた順応を含めると約 20 段のダイナミックレンジを知覚できる。映像制作では PQ (Perceptual Quantizer) や HLG (Hybrid Log-Gamma) といった HDR 伝送規格により、従来の SDR を大幅に超える輝度情報を配信している。撮影時は露出を右に寄せる ETTR (Expose To The Right) 手法でセンサーのダイナミックレンジを最大限に活用する。